まず結論
TODO管理は、やることをたくさん書き出すための作業ではありません。目的は、次に何をすればよいかを迷わず、抜け漏れと手戻りを減らすことです。
仕事のTODOには、最低限次の5つを書きます。
- 作業名: 何をするのか
- 完了条件: どこまでできたら終わりか
- 期限: いつまでに必要か
- 次の一手: まず何から始めるか
- 確認相手: 誰に見せる、聞く、渡すのか
「資料作成」とだけ書くと、いつ、何を、どこまで作るのかが分かりません。「7月30日15時までに、A社提案資料の初稿を10枚で作り、山田さんへレビュー依頼する」と書けば、次に動けます。
TODO管理でよく起きる困りごと
若手のうちは、TODO管理が苦手というより、TODOに書く粒度を教わっていないことが多いです。
よくあるのは、次のような状態です。
- 頭の中では覚えているつもりだが、細かい依頼が抜ける
- TODOリストはあるが、どれから手をつけるか毎朝迷う
- 「作業中」のまま止まっているタスクが増える
- 相手の確認待ちを忘れ、期限直前に慌てる
- 上司に進捗を聞かれてから、状況を整理し始める
これは能力の問題というより、仕事を外に出す仕組みの問題です。TODOは記憶の代わりに置くものです。覚えようとせず、見れば分かる状態にします。
悪いTODOとよいTODO
まず、TODOを「作業名だけ」で止めないようにします。
| 悪いTODO | 何が困るか | よいTODO |
|---|---|---|
| 資料作成 | 何の資料か、いつまでか、どこまで作るか不明 | A社提案資料の初稿を10枚で作り、7/30 15:00に山田さんへレビュー依頼 |
| メールする | 誰に、何を、いつまでに送るか不明 | 佐藤さんへ見積確認メールを送り、7/31午前までの回答を依頼 |
| 調査 | 調べる範囲とアウトプットが不明 | 競合3社の料金ページを確認し、比較表にURLと月額料金を記入 |
| 会議準備 | 何を準備すれば終わりか不明 | 8/1定例のアジェンダ案を作り、前日17時までに参加者へ共有 |
TODOは、自分だけが分かるメモではなく、未来の自分や上司に見せても意味が分かるメモにします。
TODOに必ず書く5項目
1. 作業名: 動詞で書く
TODOは「資料」「A社」「会議」ではなく、動詞で書きます。
- 作る
- 調べる
- 送る
- 確認する
- 依頼する
- 修正する
- 共有する
動詞で書くと、次の行動が見えます。「A社」だけでは動けませんが、「A社の契約条件を確認する」なら動けます。
2. 完了条件: 何ができたら終わりか
TODOで一番大事なのは完了条件です。
たとえば「議事録を書く」なら、どこまでできたら完了でしょうか。
- メモをきれいにする
- 決定事項とTODOを整理する
- 参加者へ共有する
- 上司の確認をもらう
仕事では、作業が終わったつもりでも、相手から見るとまだ終わっていないことがあります。完了条件は、仕事の受け方・進め方で確認する「成果物」とセットで考えます。
3. 期限: 最終期限と自分の期限を分ける
期限は、相手に提出する最終期限だけでなく、自分が作業を終える期限も分けて置きます。
最終期限: 金曜 17:00に提出
自分の作業期限: 木曜 15:00までに初稿
確認依頼: 木曜 16:00に上司へレビュー依頼
最終期限ぎりぎりに自分の作業が終わる計画だと、確認や修正の時間がありません。期限があるTODOは、スケジュール管理の基本とセットで考えます。
4. 次の一手: 最初の5分でやることを書く
TODOが大きいほど、着手が遅れます。
「資料を作る」ではなく、最初の一手まで分けます。
大きいTODO: 提案資料を作る
次の一手: 過去の提案資料を2つ探す
次の一手: 目次案を5項目で書く
次の一手: 上司に方向性を確認する
最初の一手は、5分から15分でできる粒度にします。迷っている時間を減らすためです。
5. 確認相手: 誰に聞くかを決める
TODOには、自分だけで完了できるものと、誰かの確認が必要なものがあります。
確認相手がいるTODOには、相手の名前と確認タイミングを書きます。
TODO: A社提案資料の初稿を作る
確認相手: 山田さん
確認タイミング: 7/30 15:00に初稿レビュー依頼
リマインド: 7/31 10:00
「確認待ち」は忘れやすい状態です。自分の手元から離れた瞬間に、TODOリストから消してしまうと危険です。
優先順位の決め方
TODOが複数あるときは、気分ややりやすさだけで順番を決めないようにします。
基本は、次の順番で見ます。
- 期限が近いもの
- 他人の作業を止めているもの
- 意思決定や売上など、影響が大きいもの
- 今日やらないとリカバリーが難しいもの
- すぐ終わり、全体を前に進めるもの
迷ったときは、「これを今日やらないと誰が困るか」と考えると判断しやすくなります。
優先順位を決める簡単な表
TODOを次のように並べると、優先度を決めやすくなります。
| TODO | 期限 | 影響 | 誰が待っているか | 今日やるか |
|---|---|---|---|---|
| A社資料の初稿 | 明日15時 | 高 | 上司、営業担当 | やる |
| 経費精算 | 今週中 | 低 | 経理 | 空き時間 |
| 議事録共有 | 今日17時 | 中 | 会議参加者 | やる |
| 競合調査 | 来週火曜 | 中 | 自分 | 30分だけ進める |
大事なのは、全部を今日やろうとしないことです。今日必ず進めるものを3つに絞ります。
進捗を見えるようにする
TODOは、状態で分けると管理しやすくなります。
- 未着手
- 作業中
- 確認待ち
- 修正待ち
- 完了
特に大事なのは「確認待ち」です。
自分の作業が終わっていても、相手の確認が終わらないと仕事全体は完了しません。確認待ちのTODOには、必ずリマインド日を置きます。
確認待ち: A社提案資料の初稿レビュー
確認相手: 山田さん
レビュー依頼: 7/30 15:00
リマインド: 7/31 10:00
最終提出: 8/1 17:00
進捗共有の文例は、報連相と進捗共有でも扱います。
上司・先輩に共有しやすいTODOの型
上司や先輩に進捗を聞かれたとき、TODOリストをそのまま見せられる状態にしておくと強いです。
たとえば、次の型でまとめます。
現在の状況: A社提案資料の初稿作成中です
完了予定: 今日15時までに初稿、16時にレビュー依頼予定です
確認したいこと: 料金比較の見せ方を2案で迷っています
困っていること: 競合B社の料金ページが見つかっていません
次の一手: まず目次と比較表だけ先に見ていただきたいです
これは、長い説明ではなく、相手が判断しやすい材料を渡すためのメモです。
ツールよりも大事なこと
TODO管理は、紙のノート、メモアプリ、スプレッドシート、Notion、タスク管理ツールのどれでも始められます。
ツールより大事なのは、次の3つです。
- 置き場所を1つに決める
- 毎日見る
- 終わったもの、止まっているものを更新する
複数のツールにTODOが散らばると、抜け漏れが増えます。最初は、仕事用のTODOを1か所に集めるだけで十分です。
よくある失敗と直し方
失敗1: TODOが大きすぎる
「資料作成」「調査」「会議準備」のように大きく書くと、着手が重くなります。
直し方は、最初の一手まで分けることです。
資料作成
↓
過去資料を2つ探す
目次案を5項目で書く
上司に方向性を確認する
失敗2: 期限だけを書いている
期限があっても、完了条件がなければ何を出せばよいか分かりません。
「金曜まで」ではなく、「金曜17時までに、比較表を1枚で作り、Slackで共有する」と書きます。
失敗3: 確認待ちを忘れる
相手に投げた瞬間に安心してしまうと、締切前に慌てます。
確認待ちには、リマインド日を置きます。相手を急かすためではなく、仕事全体を止めないためです。
失敗4: 今日やることが多すぎる
TODOリストが20個あっても、今日集中して進められるものは限られます。
毎朝、今日必ず進めるTODOを3つだけ選びます。残りは見える場所に置きますが、全部を今日の自分に背負わせないようにします。
次にやること
まず、今日のTODOをすべて書き出してください。
そのうえで、次の3つだけを直します。
- 作業名を動詞で書く
- 期限と完了条件を書く
- 今日必ず進めるものを3つ選ぶ
TODO管理は、きれいなリストを作ることではありません。仕事を前に進めるための地図を作ることです。