コミュニケーション

依頼・相談・催促・お礼の伝え方: 相手が動きやすい文例と型

仕事で依頼、相談、催促、お礼、謝罪やお断りを伝えるときに、相手が判断しやすく動きやすい文章にするための実務文例をまとめます。

更新日: 2026-08-02

まず結論

仕事の文章は、きれいな言葉を並べるよりも、相手が次に何をすればよいかが分かることが大事です。

依頼、相談、催促、お礼は、それぞれ目的が違います。けれど、基本の型は共通しています。

何の件か:
相手にしてほしいこと:
期限・希望タイミング:
背景・理由:
補足・選択肢:

この5つがそろうと、文章は短くても伝わります。逆に、丁寧な言葉を増やしても、「何を」「いつまでに」「どの粒度で」してほしいのかが抜けると、相手は動けません。

この記事では、若手や新任担当者が迷いやすい依頼、相談、催促、お礼、謝罪・お断りの書き方を、場面別の文例で整理します。チャットとメールの基本的な使い分けは、ビジネスチャット・メールの基本でも扱っています。

伝える前に決めること

文章を書く前に、まず「相手にしてほしいこと」を1つに絞ります。

  • 見てほしい
  • 判断してほしい
  • 作業してほしい
  • 意見がほしい
  • 期限を調整してほしい
  • ただ知っておいてほしい

ここが曖昧なまま送ると、返信が遅くなったり、期待と違う返事が返ってきたりします。

たとえば、次の文章はよくあります。

A社資料について確認お願いします。

これは短いですが、相手から見ると判断材料が足りません。

  • どの資料か
  • どこを見ればよいか
  • いつまでに必要か
  • 内容を見ればよいのか、誤字だけ見ればよいのか
  • 返事は承認だけでよいのか、コメントが必要なのか

仕事では、相手に考えさせる量を減らすほど、やりとりが進みます。親切な文章とは、長い文章ではなく、相手が次の行動を選びやすい文章です。

悪い例と良い例

まず、同じ依頼を悪い例と良い例で比べます。

悪い例

すみません、資料を見てもらえますか。
急ぎです。

一見すると丁寧ですが、何の資料か、どこを見ればよいか、いつまでに必要かが分かりません。相手は「どの資料ですか」「何を見ればよいですか」と聞き返す必要があります。

良い例

A社提案資料の初稿確認をお願いします。

見てほしいこと:
- 2ページ目の課題整理が先方の状況と合っているか
- 6ページ目の料金比較に不足がないか

期限:
本日17時までにコメントをいただけると助かります。

補足:
細かい表現はこの後こちらで整えるため、まずは内容面だけ確認いただきたいです。

良い例では、相手がどこを見ればよいかが分かります。期限もあり、確認の粒度も明確です。

文章を整えるときは、敬語を足す前に、情報が足りているかを見ます。

依頼するときの型

依頼では、相手にやってほしい作業を具体的に書きます。

基本形は次の通りです。

お願いしたいこと:
対象:
期限:
見てほしい範囲:
背景:

社内で確認をお願いする

A社提案資料について、確認のお願いです。

お願いしたいこと:
初稿へのコメントをお願いします。

見てほしい範囲:
- 提案の流れに違和感がないか
- 料金比較の前提が不足していないか

期限:
本日17時までにコメントをいただきたいです。

補足:
誤字やデザインはこの後こちらで整えるため、今回は内容面だけ見ていただけると助かります。

「確認お願いします」だけだと、相手は全部を見る必要があるのか、特定の箇所だけでよいのか分かりません。依頼では、相手の作業範囲を狭めることが大切です。

作業をお願いする

B社の導入事例について、調査をお願いできますか。

お願いしたいこと:
公式サイトに掲載されている導入事例を3件ピックアップし、会社名、業種、導入目的を一覧にしてください。

期限:
明日12時まで

背景:
A社提案資料の比較パートで使うためです。

補足:
口コミサイトまでは見なくて大丈夫です。まずは公式サイトの情報だけでお願いします。

調査や資料作成を頼むときは、範囲を決めます。範囲がない依頼は、受け手がどこまでやればよいか判断できず、時間を使いすぎる原因になります。

仕事を受ける側で確認したい項目は、仕事の受け方・進め方の5項目と同じです。依頼する側も、目的、成果物、期限、優先順位、確認タイミングを渡すと、相手が動きやすくなります。

相談するときの型

相談は、困っていることを丸投げする場ではありません。相手が判断しやすい材料を出し、一緒に前に進めるためのやりとりです。

基本形は次の通りです。

相談したいこと:
現在の状況:
選択肢:
自分の仮説:
判断してほしいこと:

判断に迷っているとき

A社提案資料の構成について相談です。

現在の状況:
提案の見せ方をA案とB案で迷っています。

A案:
最初に市場全体の課題を整理してから、当社提案につなげる構成です。
分かりやすい一方で、少し一般論に見える可能性があります。

B案:
最初からA社の業務課題に絞る構成です。
刺さりやすい一方で、前提が外れると弱くなります。

自分の仮説:
今回は先方が課題を認識しているため、B案がよいと考えています。

判断してほしいこと:
B案で進めてよいか、今日15時までに確認いただけますか。

相談では、自分の仮説を添えると相手が判断しやすくなります。完璧な答えでなくて構いません。「自分はこう考えているが、ここを見てほしい」と出すだけで、相談の質は上がります。

何から手をつけるか迷うとき

本日の作業優先順位について相談です。

現在持っている作業:
1. A社提案資料の修正、本日17時締切
2. B社導入事例の調査、明日12時締切
3. 週次レポートの更新、本日中

自分の考え:
まずA社提案資料を優先し、17時までに修正版を出したいです。
B社調査は明日午前、週次レポートは本日18時以降に回す想定です。

確認したいこと:
この優先順位で問題ないでしょうか。

複数の仕事を抱えたときは、自分だけで抱え込まず、見えている情報を並べて相談します。タスクの分解や優先順位の考え方は、TODO・タスク管理の基本でも扱っています。

催促・リマインドするときの型

催促は、相手を責める文章ではありません。仕事を前に進めるために、必要な情報と期限をもう一度そろえる文章です。

基本形は次の通りです。

何の件か:
現在必要なこと:
期限:
必要な理由:
難しい場合の代替案:

軽くリマインドする

A社提案資料の確認について、念のためリマインドです。

本日17時までに、2ページ目の課題整理だけコメントをいただけると助かります。

全体確認が難しければ、まずは「大きな方向性に問題がないか」だけでも確認いただけますでしょうか。

催促では、「まだですか」と書かないようにします。相手の状況が分からない中で責める表現にすると、協力を得にくくなります。

期限が迫っているとき

A社提案資料の確認について再度ご連絡です。

明日10時に先方へ共有予定のため、本日18時までに確認が必要です。

もし全体確認が難しい場合は、以下2点だけ先に見ていただけますか。
- 2ページ目の課題整理
- 6ページ目の料金比較

上記も難しそうであれば、提出範囲を調整したいので、可能な確認範囲を教えてください。

期限が迫っているときほど、代替案を書きます。全体確認が難しいなら一部だけ見る、今日中が難しいなら提出範囲を変える、という選択肢があると仕事を止めずに済みます。

遅れそうな報告や悪い報告の出し方は、報連相と進捗共有とセットで考えると分かりやすいです。

お礼を伝えるときの型

お礼は短くて構いません。ただし、何に助かったのか、次に何をするのかを書くと、仕事の流れがきれいにつながります。

基本形は次の通りです。

何へのお礼か:
助かった点:
次にやること:

コメントへのお礼

A社提案資料へのコメント、ありがとうございます。

特に、2ページ目の課題整理の指摘が助かりました。
いただいた内容を反映し、本日中に修正版を共有します。

作業してもらったときのお礼

B社導入事例の調査、ありがとうございます。

公式サイトの事例だけに絞って整理されていたので、提案資料に反映しやすかったです。
この内容をもとに、比較表をこちらで作成します。

お礼は、ただの礼儀ではありません。相手の協力によって仕事がどう進んだのかを伝える機会です。これがあると、次回も協力をお願いしやすくなります。

謝罪・お断りを伝えるときの型

謝罪やお断りは、丁寧にしようとして長くなりがちです。ただ、仕事では、申し訳なさを長く書くよりも、事実、影響、次の対応を整理する方が大切です。

ミスを謝罪する

A社提案資料について、こちらの確認不足で数字に誤りがありました。
申し訳ありません。

事実:
5ページ目の月額費用で、税抜と税込が混在していました。

影響:
料金比較の順位が変わる可能性があります。

対応:
現在、全ページの料金表記を確認しています。
30分以内に修正版と影響範囲を共有します。

再発防止:
提出前チェックリストに、税抜・税込表記の確認を追加します。

謝罪では、言い訳を先に長く書かないようにします。相手が知りたいのは、何が起きたか、どの範囲に影響するか、いつ直るかです。

依頼を断る・調整する

本日の追加調査について相談です。

現在、A社提案資料の修正が本日17時締切で入っており、
追加調査まで本日中に完了するのは難しい状況です。

対応案:
1. A社資料を優先し、追加調査は明日午前に実施する
2. 追加調査を本日中に行う場合、A社資料の修正範囲を2ページ目だけに絞る

自分としては、A社資料を優先し、追加調査は明日午前に回すのがよいと考えています。
この進め方で問題ないでしょうか。

断るときは、「できません」で終わらせません。できない理由、代替案、自分のおすすめを出すと、相手は次の判断ができます。

チャットとメールで言い回しを変える

同じ内容でも、チャットとメールでは少し書き方を変えます。

場面チャットメール
依頼短く、用件と期限を先に書く件名、依頼内容、期限、背景を整理する
相談状況と選択肢を簡潔に出す前提が複雑なら背景も少し厚めに書く
催促責めずに、必要な理由と代替案を書く件名にリマインドや期限を入れる
お礼助かった点と次の対応を書く少し丁寧に、相手の作業への感謝を書く

社内チャットでは、短さが大事です。ただし、短いことと雑なことは違います。メールでは丁寧さが必要ですが、前置きが長すぎると用件が埋もれます。

送る前のチェックリスト

送信前に、次の項目を確認します。

  • 何の件かが最初に分かる
  • 相手にしてほしいことが1つ目立っている
  • 期限または希望タイミングがある
  • 見てほしい範囲が絞られている
  • 背景や理由が必要十分に書かれている
  • 難しい場合の代替案がある
  • 責める表現や丸投げに見える表現がない
  • 送る相手とチャンネルに合った丁寧さになっている

特に見直したいのは、「相手にしてほしいこと」です。依頼なのか、相談なのか、共有なのかが曖昧な文章は、返信が遅くなりやすくなります。

次にやること

次に依頼や相談を送るときは、いきなり文章を書き始めず、まず次の3行だけメモしてください。

相手にしてほしいこと:
期限:
見てほしい範囲:

この3行が書ければ、文章の半分はできています。

仕事の文章がうまい人は、特別に立派な表現を知っている人ではありません。相手が判断できる材料を、必要な順番で渡せる人です。敬語を増やす前に、相手の次の行動が見えるかを確認しましょう。